ぼくらのプログラミングから、みんなのプログラミングへ

From "programmers are people, too" to "people are programmers."

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9/20/2015 IDE 第48回 情報科学若手の会 若手特別講演

概要

プログラマは一番長くコンピュータと付き合ってきた人たちだ。だから、プログラマはコンピュータを使った創作活動の未来について知っている。プログラミングの方法論を他のコンテンツ制作に応用できれば、より自由で協力的な世界がやってくるだろう。 一方で、プログラマは過去を引きずっているとも言える。プログラミングを今より分かりやすくできれば、さらに多くの人が使える道具になるだろう。 本講演では、プログラミングのメリットをみんなが享受できる世界に向けた試みについて、過去・未来2つの観点から論じる。

このページでは、第48回 情報科学若手の会で若手特別講演にご招待いただいたときのプレゼンテーションの内容を紹介しています。スライドのPDFファイル反響をまとめたTogetterもあります。これまでの活動を手短にまとめるとてもいい機会になりました。ご招待くださった幹事団のみなさま、当日会場で活発に議論いただいたみなさまに、この場を借りて御礼申し上げます。

自己紹介・はじめに

講演タイトルの「ぼくらのプログラミング」は過去の話、「みんなのプログラミング」はこれからの話です。

前者は英語では "programmers are people, too" になりますが、これは直訳すれば「プログラマだって人である」という意味です。プログラマってエンドユーザが使いやすいものを作るためには頑張りますが、自分で使う道具は意外なほど無頓着だったりすることがあって、これは「いや人間なんだし」って強調して、もうちょっと人間的なファクターを考慮に入れてこうっていう標語です。

後者は英語では "people are programmers" で、僕が勝手に作った標語です。プログラマが使いやすい道具を使うだけでなく、その恩恵にみんなが与れるような未来を夢想して作ったものです。

※ "programmers are people, too" 初出はおそらく2005年の国際学会ACM学会誌で、2012年の業界著名人による国際会議での招待講演でもほぼ同じ言葉が使われています。 "people are programmers" は僕のブログのタイトルになっています。

未成年の方もいるということで、高校の頃から何をしてきたか簡単にご紹介します。

※詳細は略しますが、どのスライド画像も関連するウェブサイトへのリンクになっています。

digitalmuseum 電網美術館
立花隆ゼミ(SCI/サイ)
おうちハック
OpenPool

今は何をやっているかというと、産業技術総合研究所 情報技術研究部門 メディアインタラクション研究グループ 研究員として、Human-Computer Interactionの研究をしています。

Human-Computer Interaction (HCI)は人とコンピュータの関係改善を目指す学問ですが、なかでも僕は、統合開発環境(Integrated Development Environment, IDE)の研究開発を通してプログラミング体験の改善に取り組んできました。これは、HCIとプログラミング言語(PL)の境界領域にある学際研究です。

一番根っこにあるのは、人々が快適に楽しく過ごすための仕組み作りをしたいという気持ちです。

※統合開発環境の研究についてご興味のある方はブログ記事“開発環境の研究”とは? / HCI編補遺を読んでみてください。さらに深追いしたい場合は開発環境研究をしているラボ一覧や、開発環境これくしょん(環これ)の統合開発環境の歴史に関する記事も参考になると思います。


突然ですが、僕仕組み萌えなんですよ。例えばこの写真は取っ手一つが眼筋一つに対応していて、それぞれを引っ張ることで目の動きが分かる模型です。次の写真は計算尺の一種です。

一度作ったらずっと機能するのって、素敵じゃないですか。とくに、美しい仕組みを見ると本当に胸が震えます。


これまでやってきたことの共通点を考えてみると、僕はずっと、仕組みを作ってきたんだと思うんです。それも、今すでにある仕組みを疑って、自分なりにどうすればよくなるか考えて、作ってきました。

今日の講演の目標は、みなさんにも今現在プログラミングのために使っている仕組みを疑ってもらい、歴史を知って、この先どうなるか考えていただくことです。さらに、プログラミングに限らず社会がどうなっていくのか、考えてみてほしいです!

※僕がこれまでに作ってきた仕組みの一覧はトップページにあります。


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